民進党には自治体議員フォーラム、女性議員ネットワーク会議、全国青年委員会と各層ごとに自治体議員が活動する組織がある。これらの組織は今後党改革のためにどのように取り組もうと考えているのか。それぞれの組織を代表して鈴木正穂京都市議、近藤里美福岡市議、田辺一城福岡県議に寄稿いただいた。

小異を捨てて大同につく!

自治体議員フォーラム世話人代表 京都市会議員 鈴木正穂(すずき・まさほ)

自治体議員フォーラム世話人代表

京都市会議員  鈴木正穂(すずき・まさほ)

 私は、日本の政治を地方から変革したいと、思いもかけず遠くまで来て、在職30年を迎えました。昭和の終わりから平成の時代を駆け抜けてきました。民主党が結成された1998年に入党して20年。

 地方自治体議員フォーラムは1999年1800人で出発しました。当時は政権交代への期待で熱気にあふれていました。年に1度の総会と研修会は政策力を高め、また交流の場となってきました。民主党が政権交代をなし得たときは、われわれ地方自治体議員も仲間とともに喜び、そして下野したときの落胆。栄枯盛衰の同時代を過ごしてきました。
 今回の総選挙で希望の党への合流は青天の霹靂(へきれき)で、全くの想定外の混乱した選挙でした。残念なことに民進党の政策を訴える機会もなく、20年間ともに同じ釜の飯を食った国会議員が民進党、無所属、立憲、希望と分裂する状況を生みました。痛恨の極みです。
 民進党は、国会議員だけの党ではありません。民進党を支えてきたのは地方自治体議員です。今、全国の地方自治体議員は漂流する民進党の状況を見ながら、路頭に迷いかけています。来年4月に統一自治体選を控えて地域を歩いていると有権者から、「民進党はどうなるの? これからあなたはどうするの?」と聞かれます。「しばし見守っていてください」と答えるのが今の現状です。
 この間、大塚耕平代表と増子輝彦幹事長は丁寧に誠実に自治体議員、青年議員、女性議員の声を受け止めてこられたことは評価したいです。意思疎通の円滑化を重んじた丁寧な運営、国民に信頼される運営、熟議を尽くして、国民に信頼される政党に生まれ変わることを期待します。
 「小異を捨てて大同につく」。これが今、求められていることだと思います。そして今後も地方自治体議員の交流の場、ネットワークの受け皿として、自治体議員フォーラムの存続を願います。
 全国の地方自治体議員の仲間の皆さん、これからも「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立ち、地方分権・地域主権、共生社会をつくろうと地域でこれからも愚直に活動しましょう。困難な時こそ、明るく、おおらかに、しなやかに、したたかに、前に進もうではありませんか。

国・都道府県・市町村連携で、女性議員プラス1を

女性議員ネットワーク会議九州ブロック世話人 福岡市議会議員 近藤里美 こんどう・さとみ

女性議員ネットワーク会議

九州ブロック世話人  福岡市議会議員

近藤里美 (こんどう・さとみ)

 「女性議員ネットワーク会議」は、2003年の設立以来、「日本のどこで暮らしていても、女性も男性も性的マイノリティも、子どもも若者も高齢者も、障がいの有無にもかかわらず、一人ひとりが大切にされ、その人らしい人生を歩むことができる『共に生き、支え合う社会』を目指す」ことを共通目標に掲げ、さまざまな活動に取り組んできました。中でも、2013年の総会をきっかけに、「性暴力被害者支援ワンストップサービスセンターの設立」を求め、意見書の提案・採択や議会質問に取り上げるなど、全国各地に広がりをみせることができたことは、今、私たちが活動を進める上で大きな力となっています。

 直近の総会(2017年9月4日開催)でも、引き続き、「性暴力被害者支援ワンストップサービスセンター」の全国設置、東日本大震災をはじめとする大規模災害の教訓を生かした防災対策の推進など、具体的行動を展開し、さらに一歩前進できるよう取り組むことを確認したところです。

 一方、私たちが具体的な取り組みを進め、「私たちのめざす社会」を実現するためには、全国各地により多くの仲間が必要です。先の総会開催時点での現職女性地方議員の仲間は251人で、所属議会で孤軍奮闘している議員も少なくありません。志を同じくし、共に活動していく仲間を増やすため、引き続き「女性議員プラス1! 女性議員ゼロ議会をなくそう」を合い言葉に、ネットワークの拡大に積極的に取り組む必要があります。
 2019年4月の統一自治体選は大きなチャンスです。各種政策の実現をはじめ、ネットワーク・組織の拡大のためにも、国・都道府県・市町村の議員が連携を深め、互いに切磋琢磨(せっさたくま)していくことが、これからの党運営にも求められているものと思われます。あらためて、全国の仲間と手を携え、力強く粘り強く活動を展開していく会議でありたいと思います。

政党は国政のためだけにあるのではない

全国青年委員会委員長 福岡県議会議員 田辺一城(たなべ・かずき)

全国青年委員会委員長 福岡県議会議員

田辺一城(たなべ・かずき)

 政党は国政のためだけにあるのではありません。民進党は地方組織、自治体議員の「全国ネットワーク」に自信を持ち、これを存分に活用し、国民の皆さまの生活現場の課題を解決するための政策形成に取り組むことで、再び国民政党として信頼されると確信します。

 私たち全国青年委員会は、2016年11月に急性白血病で亡くなった仲間の日比健太郎・名古屋市議(当時)の闘病体験に基づく提言から、骨髄ドナー登録を推進する「日比プラン」を作成。全国各地の地方議会で骨髄ドナー登録支援の取り組みを中心に政策を実現してきました。若手の全国ネットワークがあったからこその成果であり、2017年度のマニフェスト大賞で最優秀政策提言賞をいただきました。
 こうした原体験から、12月3日に臨時の全国青年大会を開催し、私たちの総意として「民進党の地方に根差した全国ネットワークは日本の民主主義を成立させる重要な価値ある政治・社会資源」と位置づけ、「維持・発展させていく」ことを決議しました。
 民進党のこれからにとって最も重要なことは、わが国の政治・社会資源である地方組織の全国ネットワークに「分断」を生まないことと考えます。そして、これをさらに生かし、政策の実現につなげていくことと考えます。
 民進党は極めて厳しい局面にありますが、先の衆院選を経てもなお、私たちの理念と政策は何らぶれていないはずです。私たち一人ひとりが全力で地域を歩き、国民の皆さまと対話し、理念と政策を愚直に訴え続ければいい。堂々と国民の皆さまと共有していくことです。連日、地域を回ると確実に民進党のこれからについて質問をいただきます。そして、しっかりと説明すれば確実に理解していただけます。
 政党の価値は国政だけにあるのではないのです。むしろ、民主主義の根っこを支えるのは地方政治です。このことを強く意識し、これからも民進党に所属する一人の組織人として未来志向で活動していきます。

(民進プレス改題33号 2018年1月19日号6面より)

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