「すべては未来のために」と題して子ども、若者、女性、雇用の問題を取り上げた第2分科会には180人以上の自治体議員が参加し、関心の高さがうかがえた。

 講師のNPO法人キッズドア・渡辺由美子理事長(写真上の左)は「子どもの貧困」の現状とその解決に向けた取り組みについて講演。「親の収入が少なく十分な教育が受けられない子どもに学習支援を行うことで高校、大学、専門学校等に進学し、その結果、優良な納税者が生まれ、社会にとっても利益になる。貧困にある子どもが夢や希望を持つためには教育が重要だ」と説いた。

 また、「子どもの貧困は外から見えにくいが、貧困率は年々上昇を続けており、非常に深刻な状況に陥っている。その原因は、親である若年層(20~40代)の非正規雇用が増え、年収が上がらない『構造的課題』にあり、その解決が必要だ」と説明した。

 もう一人の講師の労働者福祉中央協議会・花井圭子事務局長(写真上の右)は、雇用や教育費負担の現状と給付型奨学金の必要性について講演。「現在の日本は非正規雇用の増加、年収の減少傾向にある一方で、大学の学費は上がっている」と現状を解説した。また日本はOECD諸国と比較し、高等教育機関への公財政支出が最低の水準で、私費負担が高いと説明した上で、「若者たちが未来に希望を持ち、安心して学び、暮らしていく社会を創るには、給付型奨学金制度の拡充が必要だ」と説いた。

菊田真紀子衆院議員

菊田真紀子衆院議員

 モデレーターを務めた衆院文部科学委員会野党筆頭理事でもある菊田真紀子衆院議員は、民進党の教育政策を説明した。「自民党は、これまで教育や子育ては個人や家庭の責任という考えで十分な支援をしてこなかったが、民主党政権では、少人数学級や高校無償化、子ども手当てを実現した。民進党は国の責任による教育の無償化推進を掲げ、就学前教育の無償化の推進、小中学校の給食無償化等、子どもたちの未来に向けた政策を進めていく」と述べた。

 意見交換では、上園晋介名古屋市議から、伊藤孝恵参院議員との連携で就学援助制度が改正され、これまで4月認定6月支給であった要保護児童に対する入学前準備金が市町村の判断で3月に支給できるよう改善されたとの報告があった。他にも地方自治体が抱える子どもの貧困、雇用等様々な課題に関する取り組み事例の紹介や質問・意見が相次ぎ、大変活発な分科会となった。