参院本会議で29日、政府提出の「組織犯罪処罰法改正案」いわゆる共謀罪法案の趣旨説明・質疑が行われ、民進党・新緑風会の真山勇一議員が質疑に立ち、衆院での審議で積み残した共謀罪法案の疑問点――等について安倍総理大臣、金田法務大臣らの見解を求めた。

 冒頭、同日朝に北朝鮮内から発射された弾道ミサイルが、わが国の排他的経済水域(EEZ)内に着水したとみられること、学校法人加計学園にかかわる疑惑――などについて質疑。加計学園の疑惑について「クロをシロと言い募り、国の政(まつりごと)を私物化する安倍政権の振る舞いに多くの国民が驚き、あきれ、そして怒っている」と前川・前文部科学事務次官が「本物」としている文書を政権側が「怪文書」としたり、前川氏の証人喚問を開こうとしない政府・自民党の態度などを批判した。

 真山議員は、国連人権理事から任命された特別報告者であるジョセフ・カンナタチ氏が共謀罪法案への懸念を表明したことに対して、外務省が感情的な抗議文を送ったとされていることについて触れ、「抗議よりもまず誠実に回答すべきではなかったか。本法案の目的に国連のTOC条約締結を挙げるならば、丁寧に内容を説明する回答をし、国連におけるわが国への疑念が払拭されたことを確認してからにすべきではないか」と政府の対応に疑問を呈した。

真山議員が閣僚にただす

 衆院で共謀罪法案を審議するなかで、共謀罪法案で新設する組織犯罪処罰法6条の2に関連する部分の論点が約200項目にも膨れ上がったことについては、「理解不能、しかも裁量が入る余地が大きいなら、その時点で欠陥法案なのではないか」と指摘。そのうえで、「従来の刑事法体系から逸脱する整合性のなさ、矛盾が随所にある。具体的には、強盗を共謀すれば5年以下の懲役。ところが、そこから予備罪の段階まで準備を進めると2年で済むという矛盾、逆転現象が起きる。こうした粗雑かつ不整合な欠陥法案をなぜ通そうとするのか」と法案の矛盾点もあげた。

 このように疑問が多く政府も拙速に進めている共謀罪法案について真山議員は、「悪い目的では使わないと私も信じたい。しかし、将来どんな主義、主張の政党や団体が政権をとるかは誰にも分からない。法文があいまいなら、どんな形で恣意的、政治的に運用されるか分からない。その時、嫌疑をかけられ、捜査の対象になるのは、一般の人であり、皆さんの子ども、そして、孫かもしれない」とあいまいな法文が将来あいまいな運用を招きかねないことを指摘し、「議場の議員の皆さん。後に続く世代の人々に恥ずかしくない、良識のある議論をしよう」と共謀罪法案の疑問がなくなるまで議論を深めていくことを呼びかけた。

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