参院予算委員会で25日、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、民進党の桜井充議員が民進党2番手として質問に立ち、獣医学部の新設に関連し(1)加計ありきではないか(2)安倍総理が関与していたのではないか――の2つの疑念について安倍総理をただした。
獣医学部を開学予定の加計学園グループ・岡山理科大学のオープンキャンパスで、ある教授が「来年4月には必ず開学できる。秋から正式に学生を募集する」と発言したことを取り上げ、設置の可否を審査する文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)で設置が認められる前からこうした発言をしているのは、まさに「加計ありき」だと指摘した。
またオープンキャンパスで配布した資料で、「合格後、引き続き受験を続け一般入試でワンランク上の大学・国公立大学にチャレンジすることも可能」とうたっていることを問題視。2015年6月30日に閣議決定した「日本再興戦略改訂2015」いわゆる石破4条件に「既存の大学・学部では対応困難な場合」とあり、山本幸三規制改革担当大臣が以前、「加計学園は東大や北大よりも上」と答弁していたにも関わらず、大学自体がそれとは逆のことを発信していることから、4条件を満たしているという政府答弁はうそではないかと指摘した。
さらに同年4月2日に今治市職員が首相官邸を訪問していることを取り上げた。官邸内には約束がなければ入館できないが、同市が開示している首相官邸訪問記録に、誰と会ったかは不明ではあるものの獣医学部系の設置に関する協議を行った記録がある。安倍総理と総理補佐官の和泉洋人氏は同市職員との面談を否定。また萩生田光一官房副長官は当時は副長官就任前、菅官房長官も否定している。当時首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官は「記憶している限りはお会いしたことはございません」「会った覚えがないということでございますので、それでご判断いただくということだと思います」「記憶をたどっても会っていない」といった答弁を繰り返した。
安倍総理は、「職員の方が誰と面会したかについては、既に萩生田副官房長官が国会で答弁しているとおり、確認できなかった」と答弁した。これを受け桜井議員は、「今治市には明確な記録が残っているので、今治市の方に来ていただければはっきりする」として今治市長の委員会への招致を求めた。
こうした「加計ありき」の資料を多数提示しても明確な答弁が得られないとして桜井議員は安倍総理の見解を求めたが、代わりに山本担当大臣が「そういう細かいことを総理にお尋ねしても無理だ」と答弁。桜井議員は「看過ならぬ言葉だ。そんな小さなことってどういうことだ。われわれが調べてきたことに対して失礼だ」などと語気を強め、山本一太予算委員長が山本大臣に注意を促す場面もあった。