情報公開や説明責任に対する後ろ向きの総理の姿勢は目に余る 大塚耕平代表

 参院本会議で11月21日、安倍総理の所信表明演説に対して民進党・新緑風会を代表して大塚代表が最初に代表質問に立ち、(1)日米関係に関する総理の基本認識(2)北朝鮮情勢への対応(3)実質賃金低下の原因(4)格差の拡大(5)金融緩和継続の考え(6)現在の景気情勢(7)「新しい経済政策パッケージ」を作る理由(8)AI・ロボット・IoT活用による雇用への影響・対策(9)残業代ゼロ法案の審議(10)介護報酬・診療報酬改定への考え(11)自衛隊を違憲と考えているか(12)日本の政治の対立軸――等の問題を取り上げた。

 大塚代表は、森友・加計学園問題、PKO日報問題等で明確な説明を避けてきた政府の対応をとらえ、「総理の情報公開や説明責任に対する後ろ向きの姿勢、民主主義を破壊するかのような姿勢には目に余るものがある。その総理が『謙虚』をたびたび強調する姿は、笑止千万と言わざるを得ない」と批判。

 そのうえで、「次の総選挙では、民主主義を重んじる勢力を結集し、国民の皆さんと国会に対し十分な情報公開を行い、十二分な説明責任を果たし、拙速な議論や傍若無人な国会運営をすることのない、より民主主義的な政権を打ち立てるために全力を尽くす」と決意を語った。


長浜博行 参院副会長(11月21日)

長浜博行 参院副会長(11月21日)

 森友・加計問題で次々に明らかになった情報隠しとしか思えない政府の対応を問題視し、公文書管理のあり方について「ガイドライン改正ではなく、憲法21条を根拠とする国民の知る権利に関する事項なのだから、正々堂々と国会審議が必要な法改正で行うべきだ」と提案した。


岡田克也 常任顧問(11月21日)

岡田克也 常任顧問(11月21日)

 非正規雇用の割合が1990年の20・2%から現在は37・5%とほぼ倍増と指摘し、これを後押ししたのが「安倍政権が強行した一昨年の労働者派遣法の改悪だ」と批判。人口減少に歯止めをかけるには「より安定した働き方を可能とし、格差を是正することだ」と述べた。

難波奨二 参院議員 (12月4日)

難波奨二 参院議員 (12月4日) 

 補正予算が常態化し、当初予算によってのみ評価しても財政健全化への取り組み状況を正確に判断することは難しいと述べ「自然災害等の特別な理由がない限り、当初予算の直前に補正予算編成することはやめ、総合予算主義に則った当初予算のみの予算編成とすべきだ」と提案。


■■衆参両院で予算委員会審議■■ 経済政策、森友・加計学園、北朝鮮問題等を追及

 衆参両院の予算委員会で基本的質疑や総括質疑が行われ、11月28日の衆院では原口副代表、篠原選対委員長が難病対策や加計問題などを追及。29日には参院で大塚代表、増子幹事長、川合幹事長代理が経済政策や北朝鮮問題、森友学園問題などについて安倍政権をただした。

原口一博副代表

原口一博副代表

 難病であることを公表している原口副代表は、自らの国会での仕事ぶりを通して「多くの難病に苦しむ人たちの勇気になりたい」と表明。そのうえで「難病の数は多いが、指定されている難病の数は限られている。その研究費もまだまだ少ないがために難病認定が困難な状況にある」と問題点を指摘し、安倍総理に対して難病政策についてただした。 

篠原孝選挙対策委員長

篠原孝選挙対策委員長

 加計学園が獣医学部を新設する四国では、全国と比較して獣医師1人当たりの担当飼育数が少ないことを示し、「需要と供給のことを考えたら四国に(獣医学部が)ないのは当然。それを歪めて獣医学部をつくろうとしている」「完全に余計なおせっかいな政府の介入だ」などと厳しく追及した。 

大塚耕平代表

大塚耕平代表

 経済政策に関連して「安倍政権が誕生した12年11月の現金給与総額は27万5246円、直近の今年9月は26万7248円で、7998円減っている」と指摘。「株価が上がって、円高が修正されたことは評価するが、国民の皆さんの現金給与総額は減っている」のが実態だと述べた。

増子輝彦幹事長

増子輝彦幹事長

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射について、「断じて容認できない」と述べたうえで、「民進党としても厳重に抗議をした。政府としても備えや対策をしてきたと思う。このことについては与野党の壁は全くないので、私たちもできるだけ皆さんと一緒に協力していく」などと表明した。

川合孝典幹事長代理

川合孝典幹事長代理

 国が森友学園への国有地売却で過大な値引きをしたとする会計検査院の報告書について、安倍総理が不適切な対応を認めたうえで、再発防止策を講じる旨を述べたことに対して「再発防止策が実効性を伴うかどうかは、なぜこのような問題が起こったのかをきちんと検証することから始めなければならない。再調査をするのか」と追及した。

「ギャンブル依存症対策基本法案」を共同提出

「公文書管理法改正案」「情報公開法改正案」「共謀罪廃止法案」「ギャンブル依存症対策基本法案」を共同提出

 民進党をはじめ野党は12月5日、「公文書管理法改正案」を6会派(無所属の会・立憲・希望・共産・自由・社民)で、「情報公開法改正案」を5会派(無所属の会・立憲・希望・自由・社民)の共同で衆院に提出した。

 12月6日には、「ギャンブル依存症対策基本法案」を4会派(無所属の会・立憲・自由・社民)で、「共謀罪廃止法案」を5会派(無所属の会・立憲・共産・自由・社民)で衆院に共同提出した。

 法案提出後に記者団の取材に応じた民進党の中川正春議員は「野党が連携して物事を進めることに対して、国民の皆さんもひとつの期待感があると思う。大いに話し合いをしながら連携していきたい」と語った。

●公文書管理法改正案
 森友学園問題をめぐる国有地売却価格算定手続きの適正性に関する会計検査院報告書でも売却価格算定根拠の記録が不十分なことの指摘があったり、加計学園問題も含めて現行の公文書管理の在り方が障壁となっていることから、公文書をより適正に管理するため改正するもの。

●情報公開法改正案
 情報公開制度が「国民の知る権利」を保障する観点から定められたものであることを1条で明示するとともに、同制度を「国民の知る権利」の保障にふさわしい充実した内容に改正するもの。

●ギャンブル依存症対策基本法案
 ギャンブル依存症は、患者の日常生活や社会生活にさまざまな問題を生じさせ、さらには患者家族に深刻な影響を及ぼすなど、重大な社会問題と化しているため、本法案では、ギャンブル依存症対策の基本となる事項を定めること等により、ギャンブル依存症対策を総合的かつ計画的に推進するもの。

●共謀罪廃止法案

 共謀罪は、構成要件が不明確であり、刑罰法規の謙抑主義に反し、監視社会をもたらすおそれがあることに加え、表現の自由、思想及び良心の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を侵害するおそれがあり、刑罰法規として重大な問題があることから、本年6月に成立した組織的犯罪処罰法一部改正法の共謀罪関係部分を廃止するもの。

(民進プレス改題32号 2017年12月15日号2面より)

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