大塚耕平代表は25日昼、定例記者会見を党本部で開き、同日午前に行った参院本会議代表質問の感想などを述べた。

 「憲法と働き方改革を中心に(安倍総理の認識を)聞かせていただき、働き方改革はそれなりにお答えいただいた気がするが、憲法については実際に憲法改正するとなればさまざまな実務的な問題もあるということで質問したことに、真摯(しんし)に受け答えする姿勢が全く見られずに大変残念だった。そういう姿勢であるからこそ安倍さんの憲法改正論議にはどうしても皆疑念が付きまとうということだと思うので、代表質問の最後に(会津藩の)山川健次郎さんの件にからめて『什(じゅう)の掟』を引用した。本音でご自分の考えなり、これからやろうとしていることなどをはっきり国会でおっしゃっていただくこと、うそを言わないことが信頼を高めることになるので、総理にはそういう姿勢でさまざまな問題に臨んでいただきたい」と語った。また、代表質問冒頭で民進党を民主党と言い間違えたことに関しては「大変恐縮だった。民主党愛のなせる技だとご理解をいただきたい」などと述べた。

 安倍総理の憲法改正に関する答弁のどこが本音ではないと思うかとの問いには、「個別発議の定義と逐条投票について、法律はすでに施行されているわけだから、現在の総理としての法解釈として政府の考えを述べるべきだと思うので私は聞いたが、『国会で基本的に対応すべきものだ』というトーンでお茶を濁した。広告規制をどうするかなどは確かに国会で先に議論した方がいいかもしれないが、国民投票法はすでに施行されているので、これについての政府の見解は述べるべきだったが述べなかった。こういうところに何を考えているのかという疑問が湧く。(こういう点が)あまり正直ではないと思う」との見解を示した。

 安倍総理が答弁の中で憲法を「国の理想の形」と表現したことについて所感を問われ、大塚代表は「『憲法は国の理想の姿を語るものだ』という一般論に反対する人は誰もいないと思うが、例えば(日本国憲法25条にある)健康で文化的な最低限の生活を保障するということが理想であっては物足りない。それはあくまでも最低限のことを言っているわけで、理想を語るのであれば健康で文化的でどれくらい豊かな生活を国民に保障すると述べるのが理想で、むしろ憲法は国民の皆さんにとって必ず国が一定の責務を果たさなければならないということを述べている条文の方が多いような気がする。そうすると『憲法とは国の理想を語るものだ』とあのように簡単に言うのは危うさがある」と指摘。また、「憲法99条にも規定されているように、憲法は総理や国会議員を含む、政治を担うものたちの順守義務を課すものであるので、総理が言う『理想を語る』という表現には違和感がある。権力に対して、一定の権力行使に対して抑制を働かせるための国民の皆さんから課された大きな枠組みであるという受け止め方に親和性がある」などと語った。

 憲法改正の賛否について記者に問われ、「いつも申し上げている見解」である旨を前置きしたうえで、「民進党は旧民主党時代から憲法論議には積極的に応じていく論憲・創憲という立場であるから憲法は必要があれば改正も前向きにとらえるという立場。憲法9条については、これは前回の特別国会での質問のときに申し上げた通り、われわれは自衛隊は憲法に書いてあろうとなかろうと合憲の立場だから、安倍さんに『書くことによって何が変わるのか』を伺ったところ、『何も変わらない』とおっしゃったので、それでは立法事実がないので立法事実のない憲法9条の改正には反対だ」と語った。