参院予算委員会で1日午後、2017年度補正予算に対する締めくくり質疑が行われ、民進党・新緑風会の石橋通宏議員が質問に立ち、質疑終局後には伊藤孝恵議員が反対討論を行った。

 締めくくり質疑で石橋議員は、茂木経済再生担当大臣が支部長を務める政党支部が地元の有権者に線香や衆議院手帳などを無償で配布した問題を取り上げた。

 衆参両院の予算委員会質疑で線香・手帳の配布を大臣は認めたと認識していいかとの問いに茂木大臣は「政党支部の活動として公選法にのっとり行った」と答弁。どれだけ配布したかに関しては「政治資金規正法にのっとり適正に収支報告書に記載し報告している。2016年については1万6700円計上した」と語るにとどめ、配布規模・個数は「適正な政治活動なので控えさせている」と述べ、石橋議員が質問通告しているにもかかわらず答弁を避けた。

 当選以降ずっと行ってきたかとの問いには、「確認できる2014年、15年、16年には行っていた」と述べ、それ以前も「ある程度の年数は行っていると承知している」と語った。政党支部代表である茂木大臣の指示によるものかについては、「政党の活動は多岐にわたるのですべて支部長が指示する形ではない」などと答弁した。これを受けて石橋議員は「知らなかったということか」と確認を求めたが「指示をしていない」と語るだけで「知っていたか」に関して徹底して明言を避けたうえで、「私自身は配布していない。また配布をしたという報告は受けていない」「全体像を私が把握していたわけではない」などと逃げの答弁。石橋議員の繰り返しの追及に「政党支部で配布していたことは知っていた」と述べて秘書や政党支部職員が配ったことを認めたが、「政党支部の活動で、私の代理で行っているわけではない」という点を強調。公職選挙法違反には当たらない旨を再三主張した。石橋議員はこうした答弁を受けて任命権者である安倍総理に説明責任を果たすよう指示すべきとしたのに対し、「茂木大臣は疑いを掛けられればしっかり説明責任を果たす」と語った。

 石橋議員は生活保護基準の見直しで2018年度中に生活扶助費が削減される問題も取り上げた。加藤厚生労働大臣は、2014年度の全国消費実態調査にある一般低所得世帯の消費支出との比較をもとに算定基準を議論している旨を答弁し、最も低い所得世帯層の消費実態と比較・均衡させる形で算出する旨を説明。石橋議員は「(同調査は)この5年間で一番消費実態が落ちていたとき」だと指摘するとともに、生活保護の捕捉率について質問した。加藤大臣は正確さに疑問があるという結果になった過去の調査はあるが生活保護の捕捉率調査は行っていない旨を加藤大臣が答弁。石橋議員は「正確な調査をすればいいではないか」と問題提起し、「生活保護を受けるべき方が受けていないのが日本の問題だ。それ(その現状把握)をしないままに今回、水準均衡方式に基づいて生活保護基準を引き下げることは大変なことだ」と述べ、安倍総理に引き下げようとしている水準均衡方式で(すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとした)憲法25条が守られているのかどうか実態を調査し、あらためて検討すべきだとして求めたが、安倍総理は「あらためて見直しを検討することはない」と語った。

伊藤孝恵議員

 締めくくり質疑終局後、2017年度補正予算の討論に立った伊藤孝恵議員は、(1)財政を顧みない予算となっている(2)公共事業バラマキ予算となっている(3)防衛関係費の精査が不十分(4)「補正予算編成の要件とされる緊要性に欠ける――等の問題点を列挙して反対を表明したが、与党などの賛成多数で補正予算は可決した。

 その後に開かれた参院本会議では、民進党・新緑風会からは難波奨二議員が反対討論を行ったが、同補正予算は与党などの賛成多数で可決・成立した。

難波奨二議員


PDF「参院予算委員会 石橋通宏議員 質問要旨(事前通告用)」参院予算委員会 石橋通宏議員質問要旨(事前通告用)

PDF「参院予算委員会 伊藤孝恵議員反対討論(予定稿)」参院予算委員会 伊藤孝恵議員反対討論(予定稿)

PDF「参院本会議 難波奨二議員反対討論(予定稿)」参院本会議 難波奨二議員反対討論(予定稿)