第196通常国会が1月22日に開会した。安倍総理の施政方針演説に対する代表質問を参院本会議で大塚耕平代表が行い、「『人』が活き活きと活動できる姿を実現することが『人への投資』だ」と訴えた。また参院本会議では藤田幸久議員も登壇し、衆院本会議では岡田克也常任顧問が立った。2月5日からは衆院予算委員会で2018年度政府予算の審議が始まり、基本的質疑では原口一博副代表、江田憲司議員、福田昭夫議員が安倍総理に問いただした。要旨を紹介する。

長時間労働を促進する法案の削除を 大塚耕平代表

 総理は、過重な長時間労働を促進する「高度プロフェッショナル制度」の創設や裁量労働制の対象業務拡大、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金等の8つの法案を束ねた「働き方改革」法案を国会に提出しようとしている。

 長時間労働を促進する内容と是正する内容、趣旨が真逆の法案を1つに束ねて審議を要求することは適切でないと先の特別国会でも申し上げた。

 総理は、いずれの施策も「働く側のニーズ」に応じていると説明しているが、「高度プロフェッショナル制度」や裁量労働制の対象業務拡大は「働かせる側のニーズ」が高いと言わざるを得ない。

 日本経済の国際競争力は相対的に後退している。好調な企業業績は、海外景気、金融緩和、そして労働分配率の低下や労働者へのしわ寄せによってもたらされている傾向を否めない。日本の企業や産業の戦略、そして国の経済政策等が奏功しているとは言い切れないことに、真摯(しんし)に目を向ける必要がある。

 そうした中、総理は施政方針で、働き方改革は「戦後の労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革」と自賛している。しかし、今申し上げた日本経済の「実情」と「深層」を踏まえると、今回の法案の内容は、「過労死等を誘発する大改悪」になる危険性があることを認識すべきだ。かつて、1999年の派遣対象業務の拡大や2007年の製造業派遣期間の延長等、派遣法の規制緩和を進めたため、派遣切り等の問題が深刻化したことを思い出すべきだ。そのような認識を与野党が共有し、思慮深い議論を行うことが必要だ。

 「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制の対象業務拡大」を「働き方改革」の法案から削除し、断念すべきだ。

憲法平和主義の共通認識が必要 岡田克也 常任顧問

憲法平和主義の共通認識が必要 岡田克也 常任顧問

 かつての日本は、自衛の名のもとに戦争を始めた。この反省に立って、武力行使に抑制的であろうとしたのが、日本国憲法の平和主義だ。自国の生存に関わる場合に限り、必要最小限度の自衛権を行使することを除いては、武力を行使しないということこそが、平和主義の具体的内容だと私は考える。したがって、限定なき集団的自衛権の行使は、明らかに憲法の平和主義に反すると考えなければならない。

 憲法の根本原則の1つである平和主義に反する内容である限り、9条の改正は、いかなる手段を取ろうと不可能だ。したがって、まず国会で議論を尽くし、平和主義について共通の認識に立つことが必要だ。その上で初めて、憲法9条の議論がなされるべきだ。平和主義を曖昧にしたまま、9条の改正を行うことはあり得ない。

憲法改正よりも日米地位協定の改定を 藤田幸久 参院議員

憲法改正よりも日米地位協定の改定を 藤田幸久 参院議員

 普天間第2小学校の事故後もヘリコプター3機がその上空を通過した事実を米軍側は認めていない。

 事故の原因究明を妨げているのが日米地位協定だ。安倍総理は、日本国憲法は占領期に押しつけられた憲法であり、改憲すべきとの考えだが、米兵の刑事裁判権や身柄引き渡し制限など、国民が米国による押しつけを実感しているのは、憲法よりもむしろ日米地位協定ではないか。

加計学園理事長の証人喚問を求める 江田憲司 衆院議員

加計学園理事長の証人喚問を求める 江田憲司 衆院議員

 なぜ2017年1月20日まで(加計学園が国家戦略特区に申請していることを)総理が知らなかったのか。しかも(加計学園理事長は)腹心の友。何回食事をして、何回ゴルフしているのか。その間(申請の話が)一言も出ないのは常識では考えられない。この問題が収束しないのは、一方の当事者である加計考太郎さんが全然公で説明しないからだ。加計考太郎さんの証人喚問を求める。


経済成長のために中間所得層を作ろう 福田昭夫 衆院議員

経済成長のために中間所得層を作ろう 福田昭夫  衆院議員

 

自衛隊体制の再チェックを 原口一博 副代表

自衛隊体制の再チェックを 原口一博 副代表

 陸自ヘリ墜落事故は事務連絡室で対応しているが、総理にはレベルを上げて対応してほしい。整備も含めた体制の再チェックを求めたい。ご遺族にもぜひ万全の支援をしてほしい。また、FMS(対外有償軍事援助)調達の透明性が全然高まらない。納品の番号が違うなど680億円近くある。こういうことが防衛装備品の中に混乱を生じさせているのではないか。今回の事故と結びつける気はないが、わが国を守るために何が必要か安全保障、外交、特に今回のヘリの事故について集中審議をしてほしい。

(民進プレス改題34号 2018年2月16日号7面より)

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