参院本会議で2日、甘利前大臣の後任として就任した石原経済再生担当大臣の「経済演説」に代わる「経済に関する発言」に対し、民主党・新緑風会から相原久美子議員が質問に立った。

 相原議員が最初に問いただしたのは、安倍総理の任命責任だ。2012年12月に発足した第2次安倍内閣では、松島みどり法務大臣、小渕優子経済産業大臣、西川公也農林水産大臣が、いずれも「政治とカネ」に関わる問題で任期途中に辞任している。相原議員は「安倍総理は大臣の任命に当たり、大臣にふさわしい人物を選ぶという当たり前の責任を果たしてこなかった、特に政治と金の問題を軽視してきたといっても過言ではない」と厳しく批判し、甘利前大臣をぎりぎりまで慰留したとされることについて「問題を軽視し、適切な対応を取らなかった責任は重大だ」と断じた。

 安倍総理は、「政治資金のあり方については、内閣、与野党にかかわらず、一人ひとりの政治家が自ら襟を正し、説明責任を果たすべきもの」と、あくまでの個々の閣僚の問題であるとし、自身の責任については「任命責任は私にあり、国民に申し訳なく感じている。経済の再生は引き続き安倍内閣の最重要課題。正念場にあるアベノミクスを前進させ、デフレ脱却を確かなものとすることにより、国民への責任を果たしていく」と述べるなど、事の重要性をまったく認識できていないことを示す答弁だった。

参院本会議で相原議員

 石原大臣は、自民党幹事長時代には、テレビ番組で2度にわたって福島第1原発を「福島第1サティアン」と呼び、その後、環境大臣に就任してからは、中間貯蔵施設をめぐる福島県との交渉に際して「最後は金目でしょう」などと発言した人物だ。そこで相原議員は「あなたの育った環境からは、弱い立場に置かれた人の生活は分からないかも知れない」と、大臣としての適格性に疑問を投げかけ、これまでの言動を石原大臣自身がどう認識しているのかとただしたが、石原大臣からは、こうした自身の言動についての答弁はなかった。

 石原大臣は、甘利前大臣同様、TPPも担当することになる。相原議員は、2012年の衆院総選挙前、マスコミが行った「TPPへの参加に賛成か反対か」というアンケートに石原大臣が「反対」と回答した事実を突き付け、「なぜTPP担当大臣を引き受けたのか。言行不一致、内閣不一致ではないか」と厳しく問いただしたが、石原大臣は「『聖域なき関税撤廃を前提とするならば反対』という、当時の自民党の方針に従ったもの」などと開き直った。

 相原議員はさらに、国内経済について、企業がいまだ設備投資の拡大に慎重であること、円安などの影響で実質賃金の低迷が続いていることなどを挙げ、「わが国の経済は実態を伴う回復を果たしていない」「国民の生活は全く楽になっていない」と指摘。こうした現状に経済再生大臣としてどう取り組むのかとただしたが、安倍総理のカーボンコピーのような答弁に終始した。

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