岡田代表は29日午前、党本部で定例の記者会見を開いた。

 岡田代表は自由民主党安倍晋三総裁に宛てた公開質問状を用意して、この日、自民党に届けたことを報告した。「本来、各党がそろった党首討論か私と安倍総裁との間の党首討論か、いずれか行うことを求めていたが残念ながら実現かなわぬ情勢。質問状という形で出そうということで用意した」と公開質問状を提出した理由を説明した。締め切りは6月30日中で書面での回答を求めている。また「幹事長名で申し入れした文書に自民党の事務方が電話一本で『できません』と答えてくることが続いている」と状況を述べ、これについて「非礼。常識に反している」とも述べた。

 GPIFの積立金運用の問題について「リスクの高い運用は年金になじまないと指摘してきたのに、それに答えないままに(株式の)運用比率を倍にして、懸念していた通り昨年度も赤字を出したと思われる。運用結果の発表は選挙後だが、先週のイギリスのEU離脱決定を受けて株が大幅に下がっているので、年金の引き下げにつながるか懸念している。安倍総理も想定の利益が出なければ年金の給付額に影響すると述べているので、年金が減らされるとなると第2の消えた年金ではないか。年金の運用比率を元に戻すことと事実関係を明確に述べることを求める」と述べた。

 補正予算については「分配と成長の両立の観点から中身のある財政出動ならよいが、従来通りのバラマキ、借金の積み増しは意味がない。選挙での特定の団体へのボーナスと思われても仕方がない」と断じ「税収の見積もりも1月から3月度分は予定通り行かないと発表されている。そういう中で財源をどうやって得るのかしっかり答えていただきたい。財源がないと介護離職ゼロ、出生率1.8も実現できない。税収が予想より増えたからその果実で行うということではなくて、根っこから予算を組み替えて公共事業予算を削減して、社会保障を充実させるべきとわれわれは言っている」と述べた。

 公開質問状は項目が多数あるので、明日まででは回答できないのではないかとの問いに対しては「基本的な問題なので答えられると思う。そもそも参院選挙の後半2週間で一度も党首討論がないことは今までなかったので出している」と答えた。

 共産党政策委員長の藤野氏が防衛予算を「人を殺す予算」と発言し、のちに謝罪し政策委員長を辞任した問題で、「その共産党に協力した民進党」と与党が批判していることについて受け止めを問われた岡田代表は、「反論すること自体が相手の土俵に乗る。こんな批判をする安倍総理をはじめ自民党の有力者の皆さんは非常に残念。国民はそういう姿を分かっている」と断じた。

 この日行われた選対4役会議での議論を受けて、参院選の情勢と後半戦の戦いの方針を聞かれると「なかなか言えないが接戦のところと追いかけていて伸びのあるところに応援に入ることを確認した」と述べた。

 憲法改正問題についての関心がどれだけ進んでいるかという問いには、「憲法の話はうなずく人も多い。数字を見ると争点として1番手2番手ではないが、早く1番手2番手に持っていくことが重要だ。まだ危機感は共有されていない」と懸念を示した。

参議院選挙の重要争点に関する公開質問状