フロントラインインタビュー


 今、焦点となっている案件について、最前線で取り組む方々にインタビューし、その本質をお伝えします。

有田芳生(ありた・よしふ) 「次の内閣」ネクスト法務大臣・参院議員 有田芳生(ありた・よしふ)

「次の内閣」ネクスト法務大臣・参院議員 有田芳生(ありた・よしふ)

監視にNO!
STOP! 共謀罪

 今国会最大の対決法案と言われる「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案(共謀罪法案)の問題点について、「次の内閣」ネクスト法務大臣の有田芳生参院議員に話を聞いた。

 これまで共謀罪法案が3回廃案になったのは、「団体」とそこに所属している人たちが組織犯罪を行っていなくても捜査の対象になることに関して大きな社会的批判を受けたからです。行った「罪」について罰せられるというのが日本の刑事司法の基本ですが、その前に行う「準備」のさらに前の「計画段階(共謀)」で罰せられるのでは憲法で認められた「内心の自由」(第19条)が侵害されることになります。
 今回の共謀罪法案も本質的には廃案となってきたこれまでの法案と同じ問題があります。政府・与党は構成要件を厳格にしたと主張し、対象を「組織的犯罪集団」とし、共謀しただけではなく、「実行準備行為」を行った段階で検挙するとしました。呼び方も「テロ等準備罪」と変えています。しかし、「組織的犯罪集団」の概念があいまいであり、一般の人たちが関わっている団体の目的が「一変」すれば、それは「組織的犯罪集団」であり、検挙、捜査の対象になると政府は言っています。
 民進党はこの共謀罪法案が閣議決定される前の2月21日に①TOC条約(国際組織犯罪防止条約)締結に共謀罪は無用②包括的で不明確な共謀罪に反対③テロ対策は個別具体的な立法で対応――という見解で反対を表明しています。政府は、マフィアなど国際組織犯罪対策を行うTOC条約に入るために共謀罪法案を出したと言いますが、新たに包括的な共謀罪を作らなくても条約を批准することができます。また、TOC条約はテロ対策条約ではありませんが、日本はテロ対策条約のうち主要な13条約を批准し法整備をしています。②の「包括的で不明確な共謀罪に反対」と言いましたが、この法案が個人の思想・信条・内心に関わり、一般の団体をも常時監視していくようになる法案であることから、断固廃案を求めていきます。
 もう一つ、「実行準備行為」とは何かという問題があります。法案の中には「実行準備行為」とは「下見その他」と記載があります。犯罪行為を行おうとしている場所の近くを通っただけで、これは「下見」だと捜査当局が判断すれば、そこで検挙されてしまいます。
 民進党は4月6日に共謀罪対策本部(枝野幸男本部長)を立ちあげました。民進党は野党4党と市民の力で戦後最悪の治安立法の廃案を実現させるため闘っていきます。

問題の本質

●すでに3回廃案になっている法案と、今回も同じ問題がある。
● 共謀罪法はテロ対策とは無関係だ。
●一般の団体も常時監視対象となりうる法案だ。

青柳陽一郎(あおやぎ・よういちろう) 「次の内閣」ネクスト防衛大臣・衆院議員

青柳陽一郎(あおやぎ・よういちろう) 「次の内閣」ネクスト防衛大臣・衆院議員

シビリアンコントロールとガバナンスの回復が最優先

 「廃棄した」と説明しながら陸上自衛隊が保管していた事実が判明した、南スーダンPKOの日報問題。この問題の本質はどこにあるのか、「次の内閣」ネクスト防衛大臣の青柳陽一郎衆院議員に話を聞いた。

 現在のわが国を取り巻く外交安全保障環境は非常に厳しさを増しています。この前提は民進党も政府と認識を共有しています。北朝鮮による核・ミサイル開発や止まらない挑発行為、中国による領空・領海の侵犯、北方領土へのロシアの新たなミサイル配備、さらに米国トランプ新政権は、アジアの外交安全保障政策について大きくシフトチェンジしてくる可能性があります。

 こうした状況のなか、わが国はどういう対応を取るのか、そのためには日頃からどのような備えをしておくべきか。本来こうした問題の本質的な議論が必要なはずですが、今の防衛省、自衛隊、稲田防衛大臣には議論できる土壌が整っていません。<

 日報問題で特に問題なのは、稲田大臣のシビリアンコントロール(文民統制)が著しく欠如しているということです。文民たる政治家が最高の責任者として、防衛省、自衛隊を統制すること。これが基本であり、そのためにはきちんと情報を上げてもらう必要があります。その情報をもとに判断を下していくのが大臣の仕事です。しかし、今の稲田大臣に正確な情報が上がっているとは言えません。いったん廃棄したとしていた日報が存在していた事実を大臣には1カ月も知らせず、その間に隠ぺい工作がされていた疑いも出てきました。防衛省・自衛隊組織の隠ぺい体質も深刻な問題ですが、これらが実際に内部リークという形で明らかになったのは、情報漏洩というガバナンスの問題に加え、自衛隊から「稲田大臣はノー」だと突きつけられている証拠です。

 また稲田大臣は、「戦闘」を「衝突」と言い換える答弁を繰り返し、「重要影響事態」についてきちんと答えられず、さらに森友学園の問題では、他者からの指摘を虚偽だと断言しながら、結果として大臣自身の答弁が間違いで謝罪に追い込まれるなど、大臣としての資質に欠けていると言わざるを得ません。

 こうした状況の中、今国会の重要な法改正の一つである「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」※が審議入りしましたが、われわれは、シビリアンコントロール、防衛省・自衛隊のガバナンスの回復が最優先だと考えます。今回の問題は、長く安倍1強政権が続いたことによる政権の暴走、たるみ、緩みが表れた一例であり、われわれは今の防衛省のこうした隠ぺい体質をただし、稲田大臣の辞任を強く求めていきます。

問題の本質

●現防衛大臣のシビリアンコントロールの欠如。
●防衛省の隠ぺい体質と、大臣の対応に反発した内部リーク。
●長期政権による暴走、たるみ、ゆるみが原因。

※サイバー防衛隊や航空自衛隊の宇宙状況監視システム分野の定数増、陸上総隊の新編、教育訓練研究本部の新設、自衛隊による豪州及び英国に対する物品又は役務の提供に関する規定の整備等を定める内容


(民進プレス改題24号 2017年4月21日号より)

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