フロントラインインタビュー



 今、焦点となっている案件について、最前線で取り組む方々にインタビューし、その本質をお伝えします。

神山洋介(かみやま・ようすけ)「次の内閣」ネクスト内閣府特命大臣

神山洋介(かみやま・ようすけ)「次の内閣」ネクスト内閣府特命大臣

文科省天下り問題
「まずはバケツの穴をふさぐこと」

 民進、共産、社民の野党3党は4月4日、「国家公務員法改正案」(天下り禁止法案)を衆院に提出した。この法案の狙いは何か、「次の内閣」ネクスト内閣府特命大臣の神山洋介衆院議員に話を聞いた。

 文部科学省による組織的な再就職あっせん問題。明確に違法とは言えないが法の趣旨から言えば脱法行為、役所ぐるみでOBが日常的に現職と情報共有、意思疎通を行い、再就職をあっせんしていた実態が明らかになりました。調査に当たった内閣府の再就職等監視委員会の報告にある「潜脱(せんだつ)※1」という文言が象徴的です。
 今回衆院に提出した天下り禁止法案は、この再就職あっせん行為等の規制を新設するものです。現職がOBに対する無制限な情報提供をすること、現職の要請を受けてOBが代理的に就職あっせんを行うこと、OBが常態的に勝手に再就職あっせんを行うこと、等を禁止します。
 また、第1次安倍政権で撤廃された事前規制を再度設けました。職員が離職後、その離職前5年間に在籍していた国の機関等と密接な関係にある営利企業等に再就職することを2年間禁止します。諸外国の例を見ても一定の年限禁止することは基本です。
 政府側は、潜脱行為として「バケツに穴が開いてしまっている」ことは認めながら、「なぜこのバケツには穴が開いたのだろう」「穴が開いた数を調査する」と言っていて、いつその調査結果が出るのか分かりません。その間ずっとバケツから水が流れ続けてしまってはいけないので、まずはそこに対応します。その上で、今後調査結果がすべて明らかになった段階で新たに対応すべき点は追加的に行っていきます。
 作成に当たり特に苦労したのは、こうした規制をさらっと条文に書くと広く網がかかりすぎてしまうため、その加減です。一部の違法行為が象徴的に報道されることは、法を守り真面目に仕事をしている圧倒的多数の国家公務員にとっては不幸なこと。それは避けたいという気持ちが根底にありました。
 大事なのは、なぜ天下りが行われるのかということ。背景には早期退職勧奨(肩たたき)があり、今後はキャリアステップといった、現在の国家公務員の働き方そのものについても検討していきたいと考えています。
 われわれとしては与党側にも賛同してもらいたいと思っています。全府省調査が終わるまで対応策は出せないという政府側とはだいぶギャップがありますが、しっかり結果を出せるよう、働きかけ続けます。

問題の本質

● まずOBによるあっせんがあった。これを禁止し再就職規制期間を設ける。
● 内閣府の調査結果が明らかになれば、さらに追加処置をとる。
● 天下りの原因となる公務員のキャリアプランを見直す。


金子恵美(かねこ・えみ)「次の内閣」ネクスト復興大臣

金子恵美(かねこ・えみ)「次の内閣」ネクスト復興大臣

被災地に寄り添い続ける

 東京電力福島第1原発事故から6年が経過し、一つの節目を迎えた福島の復興政策。拙速に住民の帰還を進めようとする政府に対し、
民進党が考える復興支援とは。福島県選出であり、「次の内閣」ネクスト復興大臣の金子恵美衆院議員に話を聞いた。

 今回3回目の改正となる「福島復興再生特別措置法改正案」は、東京電力福島第1原発事故で立ち入りを制限してきた帰還困難区域※2の復興を柱としたものです。
 法案の賛否を決めるに当たっては、福島県に何度も足を運び、県や自治体の声を聴き、自治体議員との意見交換を重ねました。最終的には地元の皆さんの要望がある程度盛り込まれていることから、「賛成」を決めましたが、課題はあります。
 今回の議論で一番問題になったのは、帰還困難区域に人を戻す特定復興再生拠点区域を整備する点です。衆院で付けた12項目にわたる付帯決議の第1に、「政府は、帰還困難区域については、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って取り組むとの決意を表明した以上、その実現に向けては、被災自治体の意向を十分に尊重するとともに、除染を含む特定復興再生拠点区域の整備を国の負担の下で行うことについて、広く国民の理解を得るための、より丁寧な説明を継続して行うこと」と入れました。
 国はとかく帰還促進の方向にいきがちですが、帰還しない人や帰還するかどうかを迷っている人を今後どう支援していくのか。避難指示が解除されても住宅や仕事を確保できない、基幹産業である農業の再開が難しいという新たな課題もあります。
 私たちは、これからも地元、現場の声を聴き、被災地に寄り添いながら、今回法案に盛り込まれた新たな仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
 福島県内でのふるさと再生を重視するのは当然ですが、まだ全国各地に避難されている方たちが大勢いて、そこでいじめにあったり、不安に過ごしている方々がいることを忘れてはなりません。前進した復興の光の部分だけではなく、影の部分にしっかり目を向け、帰還したい人が帰還できるよう、生活環境などの整備を進めていくとともに、帰還できない人にも丁寧に向き合い、特に弱い立場にある方々に寄り添いながら、復興や支援のあり方を考えていきます。
 最後に、東北を愚弄(ぐろう)する暴言を連発した今村復興大臣が辞任し、新たに吉野正芳衆院議員が復興大臣に就任しました。福島県出身の吉野大臣には、被災地の声を内閣に届け、真の復興のためにしっかり取り組んでもらいたいと思います。

問題の本質

● 帰還困難区域の復興を柱とする「福島復興再生特別措置法改正案」に賛成した。
● 特定復興再生拠点区域の整備をはじめとした課題がある。
● 民進党は地元・現場の声を聴き、被災地に寄り添った支援を行う。

※1 法令等による規制を、法令で禁止されている方法以外の方法により免れること
※2 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域


(民進プレス改題25号 2017年5月19日号より)

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