中小企業・小規模企業対策


経済政策は中小企業の活力強化が基本

 民進党は、中小企業・小規模企業対策を最重要課題の一つとして取り組んでいます。地域振興も経済成長も中小企業の活力なくして成り立ちません。地域で日本経済をけん引してきた中小企業の後押しをすることこそ、経済政策の基本であるべきだと考えています。

中小企業を取り巻く状況

中小企業とは

 中小企業は、主に中小企業基本法で定義されています。業種ごとの資本金や従業員の数によって分類され、例えば、製造業だと資本金3億円以下、従業員数が300人以下の企業。サービス業だと資本金5千万円以下、従業員数が100人以下などの企業が中小企業です。そのうち、従業員数が20人以下の製造業、5人以下のサービス業等が小規模企業と位置づけられています。
 その定義に沿えば、わが国の企業の99・7%は中小企業になり、そこで働く人は全労働人口の約7割、3361万人にも上ります。このことからも、中小企業が日本経済と雇用を支えていることが分かります。

中小企業基本法の定義

最近の中小企業の課題

 中小企業の業種別内訳を見ると、全体の11%が製造業、65%が卸・小売業やサービス業になっています。近年、地域の雇用を担う産業は、製造業からサービス業へと変化しつつあります。1980年代は製造業や建設業が雇用の大半を占めていましたが、最近はサービス業や医療、福祉の産業で従業者数の大幅な伸びが見られます。その流れは、全国的にも顕著です。
 しかし中小企業の数そのものは、減少傾向にあり、この5年間では約40万社も減っています。ここ25年近く日本の開業率は4?5%で推移しており、イギリスの14%、アメリカの9%と比べても半分程度となっています。さらに、倒産件数は減ったと言われていますが、休廃業・解散件数は過去最高となっています。そして、この状況に拍車をかけているのが、人手不足と後継者不足の問題です。新卒者の間でも大企業への就職希望者が大半で、中小企業の新たな担い手の確保が困難になりつつあります。各種調査でも従業員不足を経営上の問題点と挙げる企業が増えています。
 現在の中小企業の経営者で一番多い年齢が66歳です。2020年頃には数十万人の団塊世代の経営者が引退の時期にさしかかります。その中の5割が、後継者がいないなどの理由で廃業予定と回答しています。後継者がいないことを理由とする廃業に歯止めをかけ、事業承継の円滑化に向けた取り組みを進めていくことが重要です。

民進党が提案する具体策

中小企業の人材確保を支援

 日本の雇用・経済を支えている中小企業が人材を確保し、正規雇用を増やしていくための後押しが必要です。民進党は、衆院に「中小企業社会保険料負担軽減法案」を提出しています。その内容は、正規雇用を促進していくため、正規労働者を増加させた中小企業に対し、増加数に応じ、助成金を支給するものです。具体的には、新たな雇い入れにかかる社会保険料の事業主負担分の2分の1相当を助成金として、10年間支給するものです。
 正社員が増えれば、勤労者や家計の所得も増え、それぞれのライフスタイルの安定にもつながります。長い目で見れば、所得税や消費税の増収によって、日本の社会保障、財政の安定にもつながり、日本を持続可能な経済社会にしていくことを実現する法案です。

中小企業数の推移


中小企業の資金繰り・事業承継を徹底支援

 中小企業を支援する税制(消費税対策、欠損金繰越期間の延長、印紙税の廃止、事業承継など)の強化・改善、中小企業の代表者本人以外の第三者連帯保証の禁止、無担保・無保証融資制度の推進などを通じ、中小企業の資金繰りを徹底的に支援します。製造業を中心に設計されている減税(設備投資減税・研究開発税制・固定資産税減免等)や補助金制度について、非製造業にも適用拡大していくことを推進します。
 また、非上場株式などの自社株評価のあり方を見直します。中小企業の人手不足などの現実を踏まえ、承継税制の雇用条件の緩和を進め、中長期的には、地域経済と雇用の中核を担う中小企業について、相続税等の猶予の対象となる発行済み議決権株式総数3分の2制限を撤廃するとともに、納税猶予割合を100%(現在は80%)へ引き上げます。

外形標準課税の中小企業への適用拡大には反対

 外形標準課税(法人事業税の付加価値割)は、「賃金への課税」が中心であり、人を雇用すればするほど税負担が増すことから、雇用の維持、創出に悪影響を及ぼします。これは、担税力が低く、資金繰りが困難な中小企業に新たな負担を強いるばかりでなく、経営に多大な悪影響を与えることは明らかです。民進党は外形標準課税の中小企業への適用拡大はするべきではないと考えます。

中小企業は分散型エネルギー社会の主役

 それぞれの地域が地域の資源を使って電力や熱などのエネルギーを生産することができれば、雇用も生まれ、地域を活性化することができます。
 長野県を対象とした分析で、再生可能エネルギー施設では、地域に売り上げの3分の1が残り、メンテナンスなどで多くの雇用が発生することが明らかとなりました。
 省エネルギーでも、建物の断熱改修はこれから大きな市場になります。ドイツでは、断熱改修への助成により年間30万人以上の雇用創出効果があり、ほとんどが地元中小企業の雇用です。民進党は、地産地消のエネルギー社会に向け、省エネルギーや再生可能エネルギーの普及促進を図ることで中小企業の仕事を創出します。

(民進プレス改題25号 2017年5月19日号より)

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