日本の農業の現状と未来


農業の未来と日本の食卓を守るこれからの農政に求められること

 日本の農業の現状と未来について、北海道雨竜郡妹背牛町で稲作を中心に営む農家の皆さんに、「次の内閣」ネクスト農林水産副大臣の徳永エリ参院議員が話を聞いた。ご発言の数々を「農業者」としてまとめる形で紹介する。

もうかる農業が大前提

 徳永 皆さん今日はお忙しいところありがとうございます。
 農業は日本の基幹産業の一つです。でも現場のことは、国会議員にも消費者の方にも十分には伝わっていない。農業に対する理解を広めていくために、現場のご意見を伺いたいと思います。
 農業者A もうかる農業を作り上げないと。もうからないから後継者だっていない。民主党政権時に農業者戸別所得補償制度がありました。あの時にたくさんの後継者が戻ってきた。このままいけば展望があると思ったけど、そのうち民主党がこけちゃってね。今の農業は薄利多売だから、スケールメリットだということで農地を増やすと今度は手が回らない。だから機械を増やす。でもこの田植え機も100町※植えたらガタがきはじめる。今は、規模拡大で普通に年30町は田植えするんですよ。何年か使ったら、また新しい機械を入れることを考えなくてはならなくなる。自分たちの自助努力というところではもう限界点を超えています。
  規模拡大ということは隣の田んぼを買うということ。つまりは地域が過疎になるんです。政策として規模拡大ではなくて高収益作物づくりにしていれば、ここまで農村は過疎にならなかったんじゃないかな。妹背牛町も、25年前は650戸くらい農家があったんですけど、今は200戸です。その時々の政策に従っても、20年30年経ったら全く逆になってしまったという状況があります。
 徳永 農政がころころ変わって、ずっと翻弄(ほんろう)されてきたのですね。民主党政権時代の農業者戸別所得補償制度が、自民党政権に戻ってからは米の直接支払交付金1万5千円が2014年度から半減されて、ついに今年度で終わるという状況です。皆さんはどのように考えていますか。
  正直不安ですね。米の価格が下落すればわれわれは生活できなくなってしまうので。恒常的な赤字についてなにか手立てをと農水省に言うと、「なんでそんなもうからないものに固執するんですか」という答えが返ってくる。だけど私たちは国
民の食料を作っている。国民の命を預かっている。例えば、酪農はどんどん大規模化していったけれど、結局「搾乳の量が足りない」と、バターを輸入している。それと同じことをまた米でやるのか。価格と経費の穴を埋める、下支えの政策をきちんと打ち出さないとみんな米から離れていきます。
  水利費にしても10アールあたり年間6千円から7千円納めているんです。助成金でそれが半額になるだけでもかなり違います。農薬についても、ジェネリック農薬のようなものがあっても良いんじゃないかと。販売価格を上げると消費者から反発があります。でも経費を下げる分にはそんなに問題がないから。民進党にはこのような政策、活動も進めてほしい。

徳永エリ(とくなが・えり) 「次の内閣」ネクスト農林水産副大臣・ 参院議員

徳永エリ(とくなが・えり)

「次の内閣」ネクスト農林水産副大臣・ 参院議員

農業の魅力と今後

 徳永 農業だけに限らず、今の自公政権がやっていることは不採算なものは切り捨てていくというものです。それと、競争による淘汰(とうた)ですよね。だから食だとか地域だとかそういうものがすっかり抜け落ちてしまっているんです。今国会で農業競争強化支援法という法律が成立しました。国は米でいうなら生産コストを4割下げるって言っていますが、今の状況からどうやって下げるのか。消費者理解を得やすいからと、今農業が規制改革推進会議のターゲットになっていると思います。それでも、農家を回っていると、若い人たちがみんな良い顔をしている。農業の魅力ってどういうところですか。
  自分で計画していろいろとやれるっていうところも農業の良さだと思います。完璧に自己責任でやれるから、自分が一生懸命やった時にはちゃんと結果が出るからやりがいがある。ただ忙しい時期は1日15時間だとか16時間以上働いているから、ブラックどころじゃないです。春に田起こしなどをする時、明日は雨が降ると分かったら夜寝ないでやりますね。
 徳永 最後に国に対して、民進党に対して、ここをしっかりやってもらいたいというところがあればぜひともお伺いしたいと思います。
  米の価格変動をなるべくなくすような政策をお願いします。毎年のように変わるのでは、収入が全く見えない。それから私たちの中には有機農業をやっている人もいます。日本の有機農産物のマーケットは欧米と比べて非常に小さいんですね。そこの消費拡大を図る後押しをしてほしい。それと、今の政治を見ていると、国内の食べ物をないがしろにしている感じがします。もう少し食べ物のことを真剣に考えてほしいと思っています。
 徳永 私たちも国産農産物にしっかりと向き合い、食料自給率向上や消費拡大などの政策を考えて、知恵を絞っていきたいと思います。本日はありがとうございました。

※1町は約1ヘクタール

(民進プレス改題27号 2017年7月21日号5面より)

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