漁業・林業の現状と民進党の取り組み


日本の漁業と林業を回復・発展させるカギは、資源の適切な管理、保全にあり

 農業と同様に漁業と林業も危機的な状況にある。就業者の減少、乱獲や乱伐による資源の減少等の問題への対応を推し進め、漁業と林業の発展を目指す。

資源管理の強化・拡充で水産資源の回復を

 日本の漁業はいま危機的な状況にあります。わが国の漁業・養殖業の生産量は、ピークの1980年代には最大で約1200万トン程度あったのに対し、2015年には約500万トン弱と、半分以下の水準まで落ち込んでしまいました(図①)。また漁業就業者数についても、1953年には約79万人であったのが、2016年にはわずか16万人と、4分の1以下の水準に減少しています。さらに漁業就業者の多くが、高齢者で占められるようになり、後継者不足も深刻です。

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 わが国漁業が危機的状況に陥っていることの原因としては、魚の獲り過ぎなどによって、わが国近海の水産資源が減少していることもあげられます。水産資源が乱獲されると、その再生力が阻害され、ますます資源が低下するという、負のスパイラルが生じます。そのため、資源管理のよりいっそうの強化・拡充が求められますが、このことをふまえ、民進党は、次の政策を提案しています。

 ・生物学的に推奨される持続的な漁獲量(ABC=生物学的許容漁獲量)に基づいて、漁獲可能な量(TAC=総漁獲可能量)を設定し、個別漁業者ごとの漁獲可能量の割り当て(個別TAC)を行います。

 ・「魚介類(食用)自給率70%」を目指し、「漁業者所得補償制度」(資源管理・漁業所得補償対策)及び「漁業経営セーフティーネット構築事業」の拡充や税制の見直しなどにより、高騰する燃料・飼料価格に対する支援の充実を図ります。

 ・省エネ・省コストな漁船の導入支援、漁船リース事業の推進、広域回遊種を含めた資源増大、国内消費の拡大などに努め、漁業経営の安定を図ります。

 ・水産資源の回復と多面的機能の発揮のため、森林の保全・整備を推進するほか、「海の森構想」等の事業を積極的に展開して、藻場、干潟の造成を推進します。

わが国の森林の保全と林業の発展のために

 日本の国土面積の約7割は森林で占められています。また、地球温暖化対策としての温室効果ガス吸収の観点から、森林を適切に管理・保全することの重要性が叫ばれるようになってきました。わが国の森林面積の3分の2は民有林であることから、森林の適切な管理・保全のためにも、産業としての林業が健全に発展することが必要です。

 第2次大戦中までに乱伐され荒れ果てたわが国の山林では、戦後まもなく大造林が行われました。ただし、その木材が利用可能になるのに何十年もの長い年月がかかるので、戦後に急激に膨れ上った木材需要を解決するため、木材輸入が本格的に開始されました。その結果、国内で流通する木材の多くは輸入木材で占められるようになり、わが国の林業は衰退し、再び山林には荒れが目立つようになったのです。

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 そのような流れのなか、09年に誕生した民主党政権は、これまでの流れを一新する「森林・林業再生プラン」を発表し、新たな林業政策を開始しました。すなわち、従来は切り捨てられがちだった間伐材の利用を促進するため、搬出間伐の実施や、施業(しぎょう)の集約化、機械化の促進などを推し進めたのです。これらの諸政策は、第2次安倍内閣でも引き継がれています。その結果、下降を続けていたわが国の木材自給率は、次第に回復傾向を示すようになってきました(図②)。

 そこで私たち民進党は、民主党政権で打ち出した「森林・林業再生プラン」を定着させ、さらにバージョンアップするために、次の政策を提案しています。

 具体的には、川上(森林所有者・素材生産業者)と川下(工務店・住宅メーカー)との連携を強化し、需給変動に的確に対応できる国産材の安定供給体制を整備することによって、「植える→育てる→使う→植える」という森林資源の循環を維持し、木材価格の安定と川上への着実な収益の還元を図ることを提唱しています。

 また、木材の安定供給の強化、合法伐採木材の流通と利用の促進のため、適切な森林管理をする者に対する直接支払いを維持し、これらにより、20年度までに「木材自給率50%」を目指しています。

(民進プレス改題27号 2017年7月21日号6面より)

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