大塚執行部のもと、政務調査会(会長・足立信也参院議員)は対応委員会を4つのまとまりにした部会制(図参照)をとる。各部会ごとに、1月22日開会予定の第196通常国会での論点と民進党が目指す方向・姿勢についてまとめた。

■第1部会

 第1部会は予算、財金、税制、総務、地方創生、厚労、文科、決算、行政監視などを担当します。人口減少と超高齢化の中、いかに生活の安心を確保していくかという観点で国会の論戦に臨みます。

 2017年度補正予算は、メニューが18年度予算と酷似し、緊急性は感じられません。18年度予算の総額は6年連続で過去最高を更新し、特に公共事業費や防衛費の膨張が懸念材料です。これらが真に国民の生活を豊かにするのか、無駄やゆがみがないのか精査します。また、税制改正案についても、理念なきパッチワーク的増税が並んでいます。所得再分配機能を強化して、ふつうの人が豊かになれる改革を求めていきます。

 「働き方改革」については、過重労働を助長しかねない「高度プロフェッショナル制度」導入や裁量労働制拡大など政府案の問題を徹底追及します。実効性ある長時間労働規制に加え、パワハラ対策等、働く人を守る法案を提案していきます。

 18年度は診療、介護、障害福祉の報酬改定に加え、生活保護や困窮者支援制度の見直しもあり、社会保障にとって大事な年です。健康で文化的な生活の確保と負担の適正化の両面から、政府案をチェックしていきます。

 政府の幼児教育・保育の無償化については、かえって格差を生むことがないよう、全ての子どもに良質な教育・保育環境が提供されることを求め、従事者の処遇改善と併せて早期に実現すべく議論していきます。

 森友・加計問題など、行政が政治によってゆがめられた可能性が明らかになっています。両疑惑を徹底追及して真相を解明しつつ、問題解明の障害となっている行政文書の破棄・隠ぺいを防止するための議員立法の成立を目指します。

■第2部会

 第2部会は外務、防衛、法務、憲法等に関わる諸課題を所管しています。いずれも国民の生命や安全、権利の保障に関わる分野として耳目を集める課題ばかりですので、活発な党内議論を行った上で国会審議に臨みたいと考えています。

 外交防衛の最大の課題は北朝鮮問題です。核・ミサイル放棄に向け、毅然とした態度で政府のあらゆる外交努力を後押しする一方で、安倍総理の圧力一辺倒の手法に対してはブレーキをかけ、武力衝突に至らないよう冷静な対応を促します。また、イージスアショアの取得がミサイル防衛などを含むわが国の防衛体制の全体から考えて最適な選択肢かどうか、さらに長距離巡航ミサイルの導入が専守防衛から逸脱していかないかなど、わが国防衛態勢の根幹に関わる問題や、瀕発(ひんぱつ)する沖縄での米軍関連事故についても、国会で徹底的に審議し厳しくただしていきます。

 法務分野では、国民投票の投票権年齢、公職選挙法の選挙権年齢が18歳に引き下げられた際に残されてきた課題である「成年年齢」を、20歳から18歳に引き下げる民法改正が政府から提案される予定です。成年として認められれば、権利能力を得るだけではなく責任も負うことになります。成年となる当人が、権利と義務の関係を理解して社会に出るために必要な施策も含めて議論を進めていきます。

 憲法分野は、安倍総理の前のめりな改憲発言に引きずられることなく、立憲主義に基づいた政治を進めるための憲法のあり方を丁寧に議論していきます。

■第3部会

 第3部会では環境、経済産業、沖縄北方、国土交通、農林水産の分野を担当します。

 2016年11月、気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」が発効しました。こうした中で、日本のエネルギー政策のあり方が課題となっています。私たちは省エネルギーの推進とともに再生可能エネルギーなど環境に優しく地域資源を活かす「分散型エネルギー社会」の構築を進めるため、しっかりと議論してまいります。

 北海道から沖縄まで、それぞれの自治体が住民とともに知恵と創意を生かす自主的な取り組みを支援するとともに、正社員確保や事業承継などへの助成を通じて、中小企業や地場産業の育成に努めます。

 社会資本整備は円滑な維持管理・更新に重点を置き、地域の交通・住宅整備はバリアフリーや良質なストック形成、利用者の負担軽減などの視点を踏まえて進め、安全な国土づくりを図ります。

 米国の離脱表明後、11カ国で大筋合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)について、政府は通常国会での承認を目指すとしています。日・EU経済連携協定と併せ、これらの協定が発効すれば、わが国の農業に深刻な影響を生じかねません。安倍政権は「農業競争力強化プログラム」に基づき、農業の成長産業化を急速に推し進めていますが、私たちは国民が新鮮な食物を安心して採ることができるよう、何よりも持続可能性を重視した農林水産業の発展を目指します。

■第4部会

 第4部会の所管委員会は、内閣、災害対策、拉致問題、消費者問題、震災復興、科学技術・イノベーション(衆のみ)と広範にわたり、「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場、男女共同参画や「新しい公共」の推進を掲げる民進党の綱領に関連する重要な分野が多く含まれます。

 次期通常国会では、国際的に大きく後れを取っている女性の政治参画を推進する議員立法「政治分野における男女共同参画推進法案」の成立に引き続き主導的役割を果たすとともに、民進党主導で進めてきた議員立法「性暴力被害者支援法案」の再提出と成立を目指します。

 また、東日本大震災・原発事故をはじめ大規模災害からの復興をさらに進めるため、衆院解散に伴い廃案となった議員立法「復興加速4法案(被災者生活再建支援法改正案・災害弔慰金支給法改正案・東日本大震災復興特別区域法改正案・土地等処分円滑化法案)」、「東電福島第2原発廃炉法案」の早期再提出と成立に取り組むなど、被災地に寄り添う姿勢を大切に、積極的に取り組んでいきます。

 北朝鮮が拉致被害者の再調査を約束したストックホルム合意から3年余、合意を検証しつつ、主権と人権の重大な侵害である拉致問題の早期解決に向け全力で取り組みます。

(民進プレス改題33号 2018年1月19日号2面より)

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