昨年12月26日の「確認事項」に示された「綱領等の再検討」に基づき、私たちは12月31日からこれまで議論を重ねてまいりました。この度、検討会として綱領を再検討し、見直しにあたっての素案をまとめましたので、答申させていただきます。

 そもそも、民進党は何を目指す政党なのか。国民の皆様に党の理念と政策を確実に伝え、党の再生と前進につなげていかなければなりません。私たちは、昨年の衆議院選挙で、とても悔いの残る戦いをしました。猛省し、国民の声に耳を傾け、国民とともに進むことを改めて誓い合いたいと思います。そして、安倍政権に対峙し、政権交代を再び実現するため、理念と政策を共有できる同志と連携・協調し、真の民主主義勢力を結集しなければなりません。

 今回の検討会の議論では、具体的な政策のあり方についても多くの意見が出されました。全国の多くの自治体議員にも意見を募りました。議論の過程では、私たちは民主党時代、「コンクリートから人へ」という言葉で、多くの国民にメッセージを送りましたが、これからは、国民の暮らしと安心・安全を守るために必要な「コンクリート」も「人」も大切に出来る、持続可能で適切な成長と分配、そして負担を議論し実現する政党こそ求められているといった声も上がりました。

 こうした意見を共有できることは、全国各地に地方組織がある民進党の強みです。今回、綱領を再検討するうえで、「地方」を重視した手法は高く評価されており、引き続き、地方組織や地方議員も、政策等の議論に参加させていただきたく思います。

 そして、何よりも、私たちは、党内ガバナンスについて今度こそ真剣に考えなければなりせん。国民の皆様も、私たち地方組織に属する者も、民進党の組織をまとめる過程の稚拙さには、残念な思いの連続です。そこで、(1)話し合うことは聴きあうこと(2)異なる意見も排除せず議論を尽くすこと(3)議論や言論に礼を尽くすこと(4)組織として決まったことは守ること(5)発言はSNSを含め慎重の上にも慎重におこなうこと(6)地方を重視した新しい党運営のあり方を漸進的に検討し続けること――などの原則を党内ルールとして確立していただきたいと考えます。

 我々が置かれている現状は大変厳しい。しかし、今こそ党改革を進め、もう一度生まれ変わるとともに、原点を見つめ直す良い機会と考えます。まさに「ピンチをチャンス」につなげていく意識を、全員で共有することが大切です。「国民生活の向上を実現する」ことを第一に掲げる国民政党となろうではありませんか。私たちは、そのための努力は惜しまないことをお約束し、本日、仲間とともに作り上げてきた綱領案を答申させていただきます。


民進党綱領

(基本政策検討本部検討会による見直し素案)

 私たちは、すべての国民の生活の向上を目指す政党である。

 私たちは、「自由」「共生」「未来への責任」を結党の理念とする。

 私たちは、「地方」が自立し、主体性を発揮できる社会を目指す。

 私たちは、「公正・公平・透明なルールのもと、多様な価値観や生き方、人権が尊重される自由な社会」「誰もが排除されることなく、互いに認め合える『全員参加型』の共生社会」「未来を生きる次世代への責任を果たす社会」「経済成長と豊かさを実感でき、互いに負担を分かち合う持続可能な社会」を実現する。

■ 私たちの立場

 私たちは、自由と民主主義を重んじ、立憲主義を貫く。

 私たちは、「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立つ。

 私たちは、日本のあらゆる地域で豊かな暮らしを実現するため、「地方」が主体となった社会を目指す。人口減少や少子化、高齢化に正面から向き合い、経済、社会保障、外交・安全保障などの日本を取り巻く課題の解決に全力を尽くす。未来を担う子どもたちへの責任を果たし、既得権や癒着の構造と闘う。あらゆる国民の声に耳を傾け、異なる意見を排除せず、社会調和を図る。

 私たちは、民主的な改革政党として、すべての国民とともに進む。

■ 私たちの目指すもの――国民の皆さまとともに

一.「個人」が尊重される    自由で安定した国家をつくる

 私たちは、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持し、自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守る。時代の変化に対応し、象徴天皇制のもと、国家権力の行使の抑制、新しい人権、地域が主体となった地方自治の推進、情報公開の徹底など国民本位の未来志向の憲法を、すべての国民とともに主体的、積極的に議論する。

二.徹底して地域に根差す―― 自立した地方をつくる

 私たちは、一人一人が常に地域を歩き、あらゆる立場の人の「声」に真摯に向き合い、生活課題を見出し、これを解決するための政策を実現する。日本のどこに暮らしていても、誰もが豊かさや幸せを実感できる地域社会をつくる。人や社会資源が偏在する状況を是正し、地域の創意工夫による自立を可能とするため、地方への権限や税財源の移譲など地方が主体となった行財政制度を確立する。

三.あらゆる差別を許さず、

    多様性を認め合う共生社会をつくる

 私たちは、正義と公正を貫き、あらゆる差別を許さない。

 一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな「共に生きる社会」をつくる。

 個人の自立を尊重し、男女共同参画をさらに推進する。男女や性的マイノリティ、障がいの有無、世代、家庭環境や経済事情などにかかわらず、その個性と能力を十分に発揮できる平等な社会を目指す。

 真の「新しい公共」を目指し、市民自治を尊び、地方自治体、企業、学校、NPO、地域社会やそれぞれの個人が十分に連携し合い、いきいきと活躍できる地域社会を実現する。

四.子どもたちに安定した未来を

つなぐ−−改革を先送りしない

 私たちは、未来を生きる次世代のため、子どもの権利を保障する。子どもの育ちや学びの環境を充実させる。

 税金のムダ遣いを排し、国の借金依存体質を変える行財政改革、政治家が自らを律し身を切るなどの政治改革を進める。

 豊かな自然を守る。エネルギーの地域への分散を促進し、原発に頼らない社会を確立するとともに、東日本大震災をはじめ様々な災害からの復興や災害に強い社会を実現し、未来への責任を果たす。

五.「人への投資」で持続可能な経済成長を実現し、国民生活を向上させる

 私たちは、公正な分配と「人への投資」を前提とし、誰もが生活の中で幸せを実感できる経済を実現し、安心して暮らせる社会を目指す。

 市場経済を基本とし、地球環境との調和のもと、技術革新を推し進め、持続可能な経済成長を実現する。安全・安心を前提としたうえで、市場への新規参入を促し、起業を促進する規制改革を実行する。

 持続可能な医療や介護、年金などの社会保障制度の確立、生涯を通じた学びの機会の保障などに積極的に投資することによって、人々の能力の発揮を阻んでいる格差を是正する。それによって支え合う力を育み、幸せのための成長を実現する。

六.すべての「働く者」の立場に

    たって社会環境を整備する

 私たちは、国民が勤労の権利を確実に行使できるよう、働きたいと思う者が働き続けることができる環境を整備する。生きがい、働きがいをもって働くことができるよう、雇用の安定と労働環境の改善に向け、労働法制をはじめとする社会制度の充実・強化に取り組む。

七.国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献する

 私たちは、専守防衛を前提に外交安全保障における現実主義を貫く。我が国周辺の安全保障環境を直視し、自衛力を着実に整備して国民の生命・財産、領土・領海・領空を守る。自立した主権国家として、日米同盟を深化させ、アジアや太平洋地域との共生を実現する。

 国際連合をはじめとした多国間協調の枠組みを基調に国際社会の平和と繁栄に貢献し、核兵器廃絶、人道支援、経済連携などにより、開かれた国益と広範な人間の安全保障を実現する。


(民進プレス改題34号 2018年2月16日号6面より)

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