2月4日の定期党大会で、選挙を勝ち抜き政権を担い得る「戦う党」に「生まれ変わる」ことが必要と大塚耕平代表は宣言し、従来の規約を大幅に変更する等し、地方組織や党員・サポーターの在り方、自治体議員の党への関わり方を変える試みをしています。今後、民進党はどのように変わっていくのか。組織委員長の桜井充参院議員にインタビューで説明してもらい、さらに変更の主なポイントの解説記事を掲載します。
■桜井充組織委員長インタビュー 地方の声を大事にしたい
これまでは中央集権的、つまり、党本部が地方の声を聴いていないという声がずいぶんありました。私が民主党の政調会長だった時にはウェブ会議を導入して地方の声を聴くことを意識していましたが、直接顔を合わせて声を聴くことが良いと言う人もいて、なかなか使うことが少なかったです。いずれにしても今回からは党として地方を大事にする一環で、ウェブ会議システムを活用しつつ、常任幹事会に地方自治体議員フォーラムや女性議員ネットワーク会議、全国青年委員会の代表に参加いただき、顔を合わせて自治体議員の声を聴ける形になりました。
自治体議員が総支部長に就任できるようにしたのは、党所属衆院議員が圧倒的に少なくなったいま、全ての総支部長をその総支部を選挙区としていない県連代表が兼ねることは組織的に無理があると考えたからです。そうなると自治体議員の皆さんから以前から声があったように、その総支部の地域を選挙区としている自治体議員が総支部長になるのは当然の流れです。
一方で民進党は前回の衆院選を戦っていませんが、次は衆院選を戦うということは決めています。総支部長になった自治体議員の皆さんが次期衆院選の予定候補にはならないかもしれないですし、もしかすると内定候補になるかもしれませんが、1日でも早く衆院選を戦う体制を敷いておくべきです。
希望の党や立憲民主党との関係をどうするのかという問題もあります。お互いに候補者を立てて選挙を戦えば絶対に共倒れになります。友党との調整も兼ねながら、候補者や総支部長を決めていくということになります。
党員・サポーター、地方組織との連携を強化する
党員・サポーターの皆さんには、これまで以上に民進党に対して積極的に参加してほしいので、執行部へ意見を伝えるシステムを作成します。今までは、意思表示できるのは代表選挙の時くらいだけでした。党費も値下げをして、より多くの方に党員になっていただけることを期待しています。
地方組織の財政は非常に厳しく、かつ自主財源を確保してもらわないと県連の運営や総支部の運営はできないので、なるべく地方に全部還元しましょうと県連や総支部から党本部へ党費の一部を納めることをなくしました。
ブロック内の都道府県連がお互いに選挙の応援をしあうのはすごく大事です。少しでも票の上積みをし、自治体議員を増やすために日頃からブロック内の連携を取るのが大事なことです。ブロックごとに党員・サポーターの皆さんからいろいろご意見があると思いますし、そうした悩み等を共有できる場が大事だと思っています。そのためにブロック協議会を設置し、ブロック単位での体制を強化しました。
統一選、参院選で勝利を収める体制をつくる
今の状態では来年の統一選や参院選を戦えないことは、党内で意見を共有できていると思います。もちろん党内の意見はさまざまありますが、共通項は何かというと、新しい体制にすべきということです。地方によっては、例えば自治体議員の方を総支部長にしようと思ったけれど、友党の一部の人と合流していくのであれば、総支部長を空けておいた方がいいのではないかという動きもあります。
それから他党の落選中の皆さんの中にはその党から出る気はなく、民進党に今すぐ戻りたいという方もいますし、やはり民進党に戻ることに抵抗がある方もいて、できれば新しい動きになればみんなで戻ってきやすいという話になってきています。そういう意見を大事にして、新しい流れをきちっと作って統一選や参院選を戦いやすい体制にしていくのは大事なことだと思っています。そのために、まず総支部や県連の足元をしっかり固めて次のステップに行かなければいけないと思っています。
これまで組織委員長として「総支部を守ってください」「県連を維持してください」とお願いしてきました。ここにきて組織は落ち着いてきていると思っています。次のステップは昨年10月に全国幹事会の中で出された、「とにかく民進党を残してほしい。だけどこのままじゃ戦えない」という意見に応えることだと思っています。
来年の統一選、参院選で勝利を収められるような体制を作っていくことに、これからみんなで努力をしていかなければいけないのではないでしょうか。
解説 党員・サポーターのあり方
党費は地方の財源に
党費を1人年額6千円から4千円に引き下げました(従来通り機関紙代を含みます)。党員登録時に従来は党本部に1人につき年額1千円の「本部登録料」を納入することとなっていましたが、これを廃止し、都道府県連の定める方法で地方財源とすることにしました。
サポーター登録時にも従来は党本部に1人につき年額1千円の「本部登録料」を納入することとなっていましたが、これを「県連登録料」と改めました。
代表選の「1票の格差」是正
代表選挙での党員・サポーター投票で、従来は各都道府県別に投票を集計し、当該都道府県の有権者数の全国の有権者数に占める比率を勘案して定める都道府県別ポイントをドント式で各候補者に配分する方式を取っていましたが、これを全国単位での集計に改めました。これにより、党員・サポーターが少ない県の党員・サポーターほど投票価値が重くなるという「1票の格差」が解消することになります。
解説 総支部長の資格要件の特例
自治体議員も総支部の長に
総支部長は、これまでは原則として党所属国会議員か国政選挙の公認候補予定者が務めることとなっていましたが、都道府県連と党本部が認める場合には、地方自治体議員等(元職等も含む趣旨)から選任できる特例を設けました。これにより、従来の暫定総支部長(総支部長不在の場合に都道府県連代表等が暫定的に総支部長の事務を行うもの)よりも積極的に地域での政治活動等を継続していくことが可能となります。
解説 「地域政党」や友党との連携
友党と絆、地域から
政策・理念・活動方針等を含め民進党との協調・連携関係を確認できる地域政党(地域の政治団体)等については、運営に関する支援を行うことができるとともに、その運営に関して、調整と合意に基づいて連携することができることを規約上明確にしました。
次回総選挙までの経過措置として、2017年総選挙に党外・他党で立候補した元民進党議員、元民進党候補者やその所属政党との連携、これらの者に対する支援をできることとする規定を設けました。
これらの改正により、これまでは選挙時の推薦候補者への支援に限られていた他党議員・候補者等との連携・支援が日常的にも可能となります。ただし、政党助成法の趣旨を踏まえ、政党交付金を原資とする直接の資金的支援はできないことにはご注意ください。
解説 ブロック協議会
ブロック代表は自治体議員に
従来は常任幹事会内に各衆院比例ブロックごとの国会議員から互選で選出した担当常任幹事を置いていましたが、各ブロック内の都道府県の地方幹事の互選によりブロック代表幹事を選出することにしました。
また、ブロック代表幹事は、各ブロックごとに各都道府県の地方幹事を招集してブロック会議を定例開催し、意思疎通を図ることとしました。
常任幹事会に自治体議員参加
党本部の常任幹事会には、ブロック代表幹事11人と、自治体議員フォーラム、女性議員ネットワーク会議、全国青年委員会の代表も出席することとしました。
解説 党員・サポーターページの活用
ネットで執行部に直言も
党ウェブサイト上に地方自治体議員、党員・サポーターのみがアクセスできるページを開設し(6月目途)、常時必要な情報を入手し、そして意見・提言を執行部や関係党役員に伝えられるシステムをすることで、全党が党運営や政策づくりに日常的に関わる政党文化の成熟に取り組むこととしました。
この仕組みを構築するため、今年度の党員・サポーター定時登録時にメールアドレスの記入をお願いしています。
解説 ウェブ会議システムの活用
地域同士でもウェブ会議
これまでも重要政策についての都道府県連政策責任者等との意見交換や災害対策本部の会議での被災現地との意見交換にウェブ会議システム(インターネットを経由したテレビ会議システム)を活用してきましたが、今後は全国幹事会等の会議やブロックごとの協議・意見交換等を、ウェブ会議システムを活用して対応できるようにします。党本部のウェブ会議システムを地方組織間の会議でも使えるようにします。
これにより会議のための移動時間と費用を節約しながら党本部と各都道府県連、ブロック内の府県連間での日常的な意思疎通を深めていくことが可能になります。
解説 全国幹事会等の位置づけ
地域の声で党方針を決定
党本部が重要な方針を決定するに当たっては、十分に地域組織、地方自治体議員の意見を聴く仕組みを明確に定めました。
具体的には、都道府県連の役職者から選出された地方幹事、政策責任者、選挙対策責任者を招集して開く全国幹事会、全国政策責任者会議、全国選挙対策会議について、?招集者に代表と組織委員長を加える?地域組織に幅広く影響する重要事項だけでなく、党が当面する焦点課題について判断する場合も招集する?全国幹事会の出席者に自治体議員団等(自治体議員フォーラム、女性議員ネットワーク会議、全国青年委員会)役員を加えることとしました。
(民進プレス改題35号 2018年3月16日号2・3面より)