共謀罪

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「共謀罪」法案(組織犯罪処罰法改正案)

 現在の刑法では、具体的な危険が生じる実行行為がなければ、処罰されないのが原則。ところが、「共謀罪」法案(組織犯罪処罰法改正案)は、277もの罪を包括的に計画段階で取り締まれるようにするもので、これまでの刑事法の原則をくつがえし、恣意的な権力行使のおそれがきわめて大きくなる。処罰の対象もあいまいで、一般市民も捜査、検挙の対象になることを政府も認めている。一般市民のメールやLINEグループへの参加、携帯電話も監視の対象になり、憲法で認められた「内心の自由」(第19条)が侵害されることになる。

「共謀罪」法案に対する現時点における民進党の見解

 安倍内閣は第193回通常国会に、過去三度廃案となった「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案を改めて提出する予定である。

 従来政府は、マフィアなど国際組織犯罪対策を行うTOC条約締結のために、共謀罪の創設が必要と説明してきた。しかし、今回の法案は、テロ対策の必要性を前面に押し出し、罪名も「テロ等準備罪」に変更するようである。加えて、安倍首相や金田法務大臣は「準備行為がなければ逮捕されない」、「一般の人は対象にならない」といった説明を繰り返し、あたかも従来の共謀罪とはまったく別の犯罪であるかのような印象を国民に植え付けようとしている。一方で、金田法務大臣は、「テロ等準備罪」創設の必要性や共謀罪との違いなど、基本的な質問についてもまともに答えられず、自身への質問を控えさせようとまでした。

 国民に正面から説明をしようとしない政府との、これまでの国会審議を通じて、以下の本質的な問題点が明らかになっている。

  1. テロ対策のために、現行法に加えて「テロ等準備罪」を創設する必要性は乏しいこと。
  2. 「準備行為」の定義が不明確であり、「共謀」との境界が定かでないこと。
  3. 「組織的犯罪集団」は可変的なものであり、一般市民が属する集団であっても捜査、検挙の対象になり得ること。
  4. 「テロ等準備罪」の捜査手法が不明確であり、将来的に通信傍受や監視型捜査の拡大につながりかねないこと。

 これらを踏まえた民進党の見解は以下のとおりである。

1.TOC条約締結に共謀罪は無用

 条約締結の必要性は認める。

 わが国は、重大な犯罪を中心に、未遂、予備(準備)、共謀(陰謀)を処罰する罪を定め、また判例によって共謀共同正犯の処罰も認められている。TOC条約の担保法に関する立法ガイドに照らせば、条約の趣旨は十分に満たしていると考える。したがって、人権保障を前提にする現行の刑事法体系をもって、TOC条約締結の手続きを進めるべきである。

2.包括的で不明確な共謀罪に反対

 日本の刑事法体系は、既遂犯を処罰することを原則とし、犯罪結果が生じた場合の重大性を勘案して、例外的に未遂、準備(予備)、共謀(陰謀)の罪を定めている。仮にTOC条約の文言どおり、死刑、無期、または長期4年以上の懲役・禁錮を定める犯罪について包括的な共謀罪を設けるとすれば、刑罰法規に慎重でありながら良好な治安を維持してきた日本の国柄を、自ら放棄するものである。

 また、現時点での政府の説明を前提にすれば、共謀罪の主体となる「組織的犯罪集団」は一般市民を含みうる広汎なものであり、「準備行為」や捜査手法も甚だ不明確である。このままでは、国民の言動を過度に委縮させ、思想や活動、内心の自由やプライバシー権など基本的人権を侵害する可能性が極めて高い。

 人権保障を前提にする現行刑事法体系の原則を守るために、包括的で不明確な共謀罪の創設に強く反対する。

3.テロ対策は個別具体的な立法で対応

 テロ対策の重要性は高まっており、日本は13のテロ対策条約を締結している。今後、現在未締結のテロ対策5条約の締結も進めるべきである。

 テロ対策のための国内法についても、現行法に不備があれば積極的に法整備を行うべきである。ただし、上記のとおり、テロ対策を名目にして包括的で不明確な共謀罪を設けることは許されるものではなく、また共謀罪ではローンウルフと呼ばれる単独のテロリストに無策であることも指摘せざるを得ない。

 国民の自由と安全の双方を追求する見地から、まずは現行法のどこに不備があるかを慎重に検討し、不備があればそれを埋めるのに必要最小限の範囲で、個別具体的な立法を行うべきである。

以上

※上記見解は、2月21日に開いた「次の内閣」会議で取りまとめた。

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